弊社と吊機
創業大正9年。
弊社は大正9年(1920年)より、この吊機で防寒着用裏毛の編立を始め、時代の波にもまれながらも、吊機にこだわり存続させて参りました。そして今日も大量生産には背を向けて、吊機を稼働させ続けています。吊ニットの持つ独特の風合いや伝統は守りながら、品質の安定や向上、いままでにはない新しい生地の開発など、吊機の新たな可能性を追求しています。
後世に伝えていくため。
また弊社では吊機の減少とともに、少なくなってしまった編立職人の後継者育成にも力を入れております。吊機はスイッチひとつ押せば簡単に稼働するというような機械ではなく、職人の熟練した技術や経験が必要とされます。また吊機は一台一台まったく違う性格や個性があったり、その日の気温や湿度によっても機械の状態が変動します。職人は常にその状態を見極めながら、手間ひまをかけて稼働させています。ほかにも職人に求められる難しい技術はたくさんありますが、ひとつ例を挙げると、一台の吊機に取り付けられた1000本以上もの「ヒゲ針」を、職人自らの目と手の感覚で等間隔かつ水平に揃えなければなりません。これらの技術習得には永い年月がかかります。たとえ吊機が存在しても、それを調整できる職人がいなければ、生地は編めません。つまり吊ニットを後世に残していくためには、職人の存在が不可欠なのです。長年にわたり培ってきた技術やノウハウとともに、吊機に情熱を燃やす職人魂を次の世代に伝えていきたいと思っています。
おわりに。
ここまで吊機のページを読み進めて頂きましてありがとうございます。吊機の世界を少しはおわかり頂けたでしょうか?吊ニットの独特の風合いはインターネット上ではどうしても伝えきれません。特に実際に生地を手に取って頂く事ができないので残念です。。今後も最新情報のページで吊職人の紹介や、おもしろい名前の部品の紹介などを少しずつ更新していきます。どうぞご期待下さい。